研究概要 |
イネの遺伝子発現アトラスを作成するために、様々な器官・組織の遺伝子発現情報や詳細な時系列データなどをマイクロアレイ解析によって収集している。現在それらの情報すべてを利用して共発現解析を行い、共発現遺伝子群に共通して存在するシス配列を予測するシステムを検討している。またサンプリング条件を考慮した共発現解析より得られた情報からシス配列を推定できるようなシステムも検討中である。今年度はその前段階として、イネ品種「日本晴」で予測された遺伝子の転写開始点より上流1kbと2kbの配列の整備、マイクロアレイデータの標準化方法の検討、共発現解析法の検討を行った。転写開始点より上流1kbと2kbの配列については目的のものをダウンロードできるようになっている。また近年high-throughputに転写因子結合配列を特定できるという報告があったProtein Binding Microarray(PBM)の実験系確立のため、できるだけ配列が重複しないように44,000のプローブ配列を設計し、カスタムアレイ(4×44K)を作成した。いくつかの転写因子においてこのPBMを行うために、これまでに得られた遺伝子発現情報から農業上重要な時期や器官で発現する転写因子を選抜した。それらの中には、栄養生長期から生殖生長期への移行時に特異的に発現上昇するものや、止め葉の老化開始時に誘導される同一ファミリーに属する複数の転写因子等が含まれる。
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