研究概要 |
ビタミンCは、水溶性の強力な抗酸化物質である。しかし、ビタミンCが生体内において活性酸素を消去するという証拠は乏しい。本研究では、ビタミンCを体内で生合成できないSMP30/GNLノックアウトマウスを用いて、ビタミンCが欠乏した脳における活性酸素の生成をリアルタイムバイオグラフィー法により検討した。 ビタミンC非投与4週間後、8週間後のSMP30/GNLノックアウトマウス脳における総ビタミンC濃度は、ビタミンC投与群に比べてそれぞれ6%、2%にまで低下していた。SMP30/GNLノックアウトマウス脳における活性酸素生成量は、ビタミンC非投与4週間、8週間後において、ビタミンC投与群に比べて2.5倍、2.1倍にそれぞれ増加していた。また、ビタミンC非投与4週間、8週間後のSMP30/GNLノックアウトマウス脳における総スーパーオキシドジズムターゼ(SOD)活性、Mn-SOD,Cu,Zn-SOD,カタラーゼの各タンパク質量は、ビタミンC投与群と有意な差が認められなかった。さらに、活性酸素消去能をもつ水素水を飲用させたビタミンC非投与群のSMP30/GNLノックアウトマウスは、通常水を飲用させた群に比べて、脳における活性酸素の生成量が27%減少した。 本年度、ビタミンC欠乏SMP30/GNLノックアウトマウスは、脳における活性酸素の生成が増加することを明らかにした。また、水素水は脳における活性酸素の生成を抑制することを証明した。ビタミンC欠乏SMP30/GNLノックアウトマウスは、酸化ストレス亢進モデルマウスとして、サプリメントや機能性食品の生体内における抗酸化能を評価できる。
|