研究概要 |
平成20年度、研究代表者はロジウム(II)錯体を用いるカルボニルイリドの1,3-双極付加環化反応を検討し、以下の成果を得た。 1、当研究室で開発したキラルなロジウム(II)カルボキシラート錯体Rh_2(S-TCPTTL)_4がα-ジアゾ-β-ケトエステルを環状カルボニルイリド前駆体、フェニルアセチレン誘導体、電子豊富アルキン、またはスチレン誘導体を求双極子剤とする分子間不斉1,3-双極付加環化反応において、極めて有効な触媒として機能することをを見いだした。特に、スチレン誘導体を求双極子剤とした場合には、完璧なエキソ選択性かつ最高99%の不斉収率が得られた。現在、本反応を利用したdescuraininの合成を検討している。 2、分子軌道計算の結果、本反応はカルボニルイリドのLUMOと求双極子剤のHOMOの相互作用が支配的な逆電子要請型の付加環化反応であることを明らかにした。 3、得られた知見を基に、これまでに報告例の知られていないインドールを求双極子剤とする付加環化反応を検討した結果、最高99%の不斉収率で付加環化生成物が得られることを見いだした。 4、本反応を分子内反応へと展開した結果、付加環化生成物が完璧なエンド選択性かつ最高66%の不斉収率で得られた。現在、本反応の収率、不斉収率の向上を目指すとともに、本法で得られた付加環化生成物から生物活性を有するアスピドスペルマアルカロイドvindolineへの変換を検討している。
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