研究課題
平成20年度の研究成果の中で、依然不明瞭であったiNKT細胞によるB-1B細胞の活性化因子を更に検討した。IFN-γが感染肺局所で貪食細胞を活性化する機構とは別に、液性免疫あるいは獲得型のIgMを介した接触性過敏性応答を媒介する因子としてIL-4を想定し、IL-4遺伝子改変動物を用いてin vivoの感染実験を行った。IL-4を欠損するマウスでは予想とは異なり、肺炎脆弱性(CFU悪化)を認めなかった。試験的にIL-4/IL-13を同時に欠損したマウスでCFUを比較すると、顕著な肺炎悪化が観察された。この結果を敷衍するためにIL-13単独欠損マウスを入手した。このマウスで肺内CFUは悪化した。更に血流感染時には、野生型に比べて平均生存期間の有意な短縮が観察された。IL-13欠損による急性細菌感染症悪化の理由と、B-1B細胞との関連有無を検討する目的で、脾臓抗ホスホリルコリンPC産生細胞をELISPOTアッセイで検討した。結果IL-13を欠損すると、iNKT細胞欠損マウス同様に、野生型で観察される感染後の抗PC産生細胞の有意な増加が欠如した。iNKT細胞との関連有無を検討する目的で、iNKT細胞の豊富な肝臓、B-1細胞の豊富な脾臓、肺胞腔内の細胞を感染動物より採取・単離してIL-13欠損動物へ移入すると、肺内CFUが有意に改善し、治療効果が得られた。またIL-13は感染前後の肺組織からはほとんど検出されず、血清中、また感染後3日に肺所属リンパ節内のT細胞から産生さていることを確認した。IL-13は既知のTh-1、Th-2機能とは異なる機序で、肺炎発症後早期の所属リンパ節内で産生され、活性化B-1細胞の機能に寄与することが推察された。iNKT細胞との関連、詳細な宿主保護、治療効果のメカニズムなどについては更なる検討が必要である。
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