研究概要 |
本年度の実験は虚血性腫瘍に対する血管新生因子の動態観察のため、VEGF(Vascular Endothelial Growth Factor, 血管内皮細胞増殖因子)-Q dot 705(Quantum Dot, 量子ドット)複合体の作製並びにVEGFR(Vascular Endothelial Growth Factor Receptor, 血管内皮細胞増殖因子受容体)発現細胞CRL-2460 : MSI VEGF(ADCCより分離)に対する結合作用の検討を主として行った。本実験はin vitroではあるが、結合が有意な差を持って認められれば、今後に作製を予定している虚血型腫瘍モデル並びにマウス片側後肢虚血モデルに投与して、VEGFRを発現する新生血管のin vivoイメージングが可能となるかどうかを確認する基礎的かつ重要な実験である。 第一に新生血管のイメージングを可能にするプローブ作成をおこなった。VEGFをビオチン化し、アビジン化Qdot 705と反応させることでVEGF-Qdot 705複合体を作製した。第二にVEGFR発現細胞CRL-2460 : MS1 VEGFとの結合実験を行った。In vitroにおける結合性の実験結果にて、CRL-2460 : MS1 VEGFにVEGF-Q dot 705複合体を反応させた群では、Qdot 705を単独で反応させた群に対して5〜6倍の総蛍光強度を得ることが確認された。今後は、虚血型腫瘍モデル並びにマウス片側後肢虚血モデルを作成し、生じた新生血管のVEGFR発現を検討し、VEGF-Qdot 705複合体プローブをin vitro,in vivoにて作用させ、更に血管透過性亢進剤TGF-βを用いてイメージングを行う予定である。
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