研究概要 |
本研究では蛍光ナノ粒子を1粒子レベルで生体内を観察する技術を利用し、新生血管に特異的なDDSを実現するにあたりenhanced pemeability and retenion(EPR)効果を利用しうる粒子の大きさを一分子レベルで検討し、腫瘍間質、血管近傍と細胞間とでは粒径によって動態が大きく異なることが分かった(Breast Cancer Res, 2009)。血管新生因子の動態観察のため、VEGF(Vascular Endothelial Growth Factor,血管内皮細胞増殖因子)-Qdot705(Quahtum Dot,量子ドット)複合体の作製並びにVEGFR(Vascular Endothelial Growth Factor Receptor,血管内皮細胞増殖因子受容体)発現マウス膵島細胞CRL-2460:MS1 VEGFに対する結合作用の検討を主として行った。新生血管のイメージングを可能にするプローブ作成をおこなった。VEGF、PDGFをビオチン化し、アビジン化Qdotと反応させることでVEGF-Qdot複合体、PDGF-Qdot複合体を作製した。第二にCRL-2460 : MS1 VEGFとMS1の結合実験を行った。In vitroにおける結合性の実験結果にて、CRL-2460 : Ms1 VEGFにVEGF-Qdot複合体を反応させた群では、Qdotもを単独で反応させた群に対して6.3倍、PDGF-Qdotを単独で反応させた群に対して3.4倍の総蛍光強度を得ることが確認された。MS1に対しては各群間に差を認めなかった。また、虚血型モデルの確立としてマウス片側後肢虚血モデルを作成し、レーザードップラー還流イメージング装置を用いて血流が低下している事を確認した。
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