研究概要 |
本研究は骨組織の発生・維持に重要な因子であるCCN2遺伝子を欠損させたCCN2ノックアウトマウスを用いて、メカニカルストレス応答に関するCCN2の機能の解析を目的として、本年度はCCN2ホモ欠損ノックアウトマウスと同腹の野生型マウスより骨芽細胞や軟骨細胞等の骨組織を形成する細胞でのメカニカルストレス応答の違いを検討することに先立ち、類似あるいは相反する機能を持っと考えられている他のCCN familyタンパク質の機能についての解析と、両遺伝子型の各種初代細胞にGFPあるいはRFPを融合させた種々の細胞小器官に特異的なタンパク質をCMVプロモーターを用いて強制発現させ、蛍光顕微鏡下またはコンフォーカル顕微鏡下で生きた細胞を可視化しメカニカルストレス負荷後の細胞小器官の変化を追跡可能とする準備を行った。 その結果、CCNメンバはCCN2と同様、軟骨細胞分化や骨芽細胞から骨細胞への分化の過程で時期特異的にその発現量が調節されて、分化の促進または抑制に関わっていることが示唆された。また、GFPやRFPを融合させたActin, Tubulin, E1 alpha-pyruvate dehydrogenaseを強制発現させ細胞骨格やミトコンドリア等の細胞小器官を可視化してメカニカルストレス負荷後の細胞の変化を観察可能とした。以上、CCN2が欠損した骨組織を構成する細胞と、同腹の野生型由来の細胞を用いての比較検討によるCCN2のメカニカルストレス応答における機能解析の準備を行った。 本研究で得られるメカニカルストレス応答時のCCN2の機能についての知見は矯正歯科学において重要な、歯の移動の制御と歯槽骨をはじめとする歯周組織のリモデリング制御に貢献できるものであり、矯正歯科医療の発展に寄与することができるものと考えられる。
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