研究概要 |
申請者は、脳卒中など神経細胞死における脂質代謝酵素群シグナル伝達メカニズムの解明を目的として、初年度は以下の研究を行った。 1. 個体を用いた実験 : ラットを用いた前脳虚血モデルを行い、その手技を会得し、TUNEL染色の立ち上げを行った 2. 脳組織スライス培養系の構築 : 研究実地計画ではマウスを用いると記述したが、過去の我々の知見及び個体の大きさによる手技の簡便さからラットを選択した。低酸素・低グルコース処理による負荷をあたえると、海馬神経細胞内のDGKζは核内の反応が消失し、核外の反応が現れることを明らかにした。 3. われわれが維持しているDGKζノックアウトマウスの13.5目胚より、マウス繊維芽細胞を取り出し、ウイルス感染や薬剤処理をもちいずに、繊維芽細胞株(MEF)の樹立を行った。初代培養では再現性よく、同程度の増殖能をもったMEFを得ることができたが、株化すると、株により増殖能に差異がありかつ死滅することも多々あった。 4. PC12細胞を用いた実験 : PC12細胞はラットでクローニングされている6種のDGKのうちα, γ, ε, ζ, τの5種類が存在しNGF添加後にαのみ発現量の増加が確認された。しかしNGF刺激により局在の変化が観察されたアイソフォームはなかった。また、当研究室で主に解析が勧められているDGKζのノックダウンシステムをPC12細胞で確立させた。
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