申請者は、神経細胞死における脂質代謝酵素群のシグナル伝達メカニズムの解明を目的として、初年度に引き続き以下の研究を行った。 1.個体を用いた実験:野生型およびDGKζノックアウト(DGKζKO)マウスにカイニン酸処理を施すと野生型に比べDGKζKOマウス海馬神経細胞においてサイクリンDの発現上昇が確認された。また野生型においてカイニン酸処理後DGKζのタンパク量の現象が確認された。 2.初代培養系での実験:ラット海馬由来初代神経細胞にグルタミン酸処理を施すと内在性および発現したGFP-DGKζは核から細胞質に移行し、その後24時間でタンパク量が減少した。プロテアソーム阻害剤処理によりこの減少は抑制されたことからDGKζは虚血ストレスによりプロテアソームで分解されていることが示唆された。同様の現象はMEF細胞にタプシガルギン処理を施しERストレスを与えた場合も再現性よく引き起こされた。またDGKζKOMEFとの比較実験では野生型に比べERストレスにより細胞死が引き起こされやすいことが明らかとなった。 3.培養細胞を用いた実験:HEK293やSHSY5Y細胞にDGKζを発現させ、免疫沈降しユビキチン化することを確認した。これは野生型より細胞質局在型の方が顕著であった。
|