研究概要 |
本研究は採血を受ける子どもを対処行動から非効果的群と効果的群に分類し,非効果的対処行動とその関連要因を明らかにすることを目的とし,今年度は,小児科外来で採血を受ける3歳から6歳の子どもと保護者を対象としアンケートと参加観察法により調査を実施した。調査期間は2009年6月から9月とし,方法は,外来で採血を受ける子どもの採血中の対処行動を参加観察法にて評価し,非効果的群と効果的群に分類した。対処行動の測定は協力行動スコアと情緒スコアを用い,保護者への質問紙は,子どもの採血や入院経験に加え,保護者自身の不安,予測する子どもの行動を同スケールで回答してもらい,それらと採血前の子どもの行動から非効果的群の関連要因を検討した。 その結果,対象となった子どもの平均年齢は4.8±1.1歳,男児26名(55.3%),女児21名(44.7%)であり,全員が過去に採血を経験していた。調査項目と協力行動スコア,情緒スコアの総得点から効果的群(男児20名,女児15名),非効果的群(男児6名,女児6名)として比較したところ,子どもの年齢(P=0.013)に差があり,非効果的群は効果的群に比べて年齢が有意に低かった。また,採血前の子どもの行動(P=0.012)と保護者の予測(P=0.000)にも差がみられ,非効果的群は効果的群に比べて採血前の行動も協力的でなく落ち着いておらず,保護者の予測とも一致していた。採血時,対処行動をうまく取れない子どもは,採血前から協力的な行動が取れず落ち着かない行動を表出しており,また,子どもの特性をよく理解している保護者は,それまで経験した場面において子どもの行動を的確に予測することが出来ていたと考えられる。採血前にこれらを情報収集しアセスメントすることにより,子どもの特性を把握し,個別性を兼ね備えたプレパレーションが可能になると考える。
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