近年、癌病変において細胞膜流動性が変化することが報告された。一般に膜流動性を捕捉することは蛍光偏光解消法により可能である。同法は低侵襲な手法で、膜流動性を数値(FP値)として表すことが可能であるため、例えば、癌化に伴う膜流動性変化という現象を数値にて評価しうる可能性がある。そこで本研究では、同法の有用性を(1)アゾキシメタン誘発大腸腺腫動物モデルおよび(2)ヒト胃癌検体を用いて検討した。その結果、(1)腺腫部位とその周囲の正常粘膜におけるFP値に有意な差を認めた。また、(2)病理学的に高分化腺癌と確認された領域のFP値は、正常粘膜領域と比較して有意に低値であった。このことは同法により病変部位が数値にて診断可能であることを意味する。同法は内視鏡への応用が可能であり、新しい光学的生検技術の一つとして提案したい。
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