障害を有しながら地域で生活する児を養育するにあたっては、家族間の連携・協働、すなわち"家族エンパワメント"を高めることが必要不可欠であるが、日本においてこの"家族エンパワメント"を測定する手段はない。本研究では情緒・発達障害を抱えた子どもを地域で養育する家族のエンパワメントを測定する尺度であるFamily Empowerment Scale(以下、FES)日本語版を作成し、その信頼性と妥当性の検証を行った。対象は、4-18歳の情緒・発達障害児の保護者205名であった。FES日本語版の実行可能性、内的一貫性、再テスト信頼性、収束妥当性、弁別妥当性、因子妥当性、自己効力感尺度および自尊感情尺度との併存的妥当性、社会参加活動状況の異なる2群での臨床的妥当性(既知集団妥当性)について検証した。その結果、十分な内的一貫性と級内相関係数が示され、尺度の信頼性が確認された。また収束妥当性、弁別妥当性の検討では、尺度化成功率は90%以上であった。自己効力感尺度および自尊感情尺度との相関もみられ、併存的妥当性が示された。既知集団妥当性の検討では、社会参加活動状況の異なる2群で総得点および下位尺度得点に想定通りの有意差が認められた。本研究より、FES日本語版の高い信頼性と妥当性が示され、我が国における情緒障害児の養育者を対象とした調査や研究、あるいは看護介入や長期フォローアップの評価指標として使用可能であることが示唆された。
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