研究課題
子どもの虐待死亡事件で法医解剖に供されたご遺体の脳について、REELIN,PP1等の遺伝子のプロモーターのメチル化の程度を調べ、虐待による遺伝子発現への影響を調べた。対照群は突然死した事例の脳を用いた。1)摘出した脳をフォルマリン固定した。2)前頭葉(前し頭回,中心溝回)などの脳皮質、海馬、小脳からパラフィン包埋切片を作製した。3)各切片からマイクロダイセクション法を用いて、大錐体細胞数百個程度を採取し、DNAを抽出した。4)Bisulfite処理を行い、塩基配列特異的なプライマーを用いて、PCRを行い、PP1遺伝子やREELIN遺伝子の上流域の増幅産物を得た。5)PCR増幅産物の塩基配列を決定し、メチル化されている塩基を決定する(Bisulfite genomic sequencing法)。6)Bisulfite処罪によりシトシンはウラシルに変化するが、メチル化シトシンは変化しないことを利用し、それらを識別できる制限酵素で、5)で得られたPCR増幅産物を消化し、メチル化の程度を推定する(COBRA法)。7)各組織切片から抽出されたDNAをBisulfite処理し、メチル化特異的プライマーや脱メチル化特異的プライマーを用いてPCRを行い、メチル化の程度を推定した(メチル化特異的PCR法)。8)各組織切片から抽出されたDNAをメチル化感受性酵素と非感受性酵素で切断し、塩基配列特異的なプライマーを用いて、PCRを行い、酵素間でのPCR増幅産物量を比較し、メチル化の程度を推定した(メチル化感受性PCR法)。今後は検体数を増やし、検討を進める。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)
Clin Chim Acta. (in press)
Cases J 1:337
ページ: 1-5