本年度は、データ収集および分析、海外での研究成果報告を実施した。その結果、長期フォローアップへの移行期にある血液・腫瘍疾患と診断され、骨髄移植を受けた思春期の子どもの生活には、薬剤投与、日焼け・感染予防、外来受診に関連した特徴がみられた。 長期フォローアップへの移行期にある骨髄移植後の思春期の子どもは、免疫抑制剤や抗腫瘍薬の投与を継続しており、副作用への対応や外来での処置は病気を治すために必要と認識し、生活に副作用への対応を組み込んでいた。子どもの生活には、根拠と関連付けて考えられる認知発達段階、入院中からの医療者や親による疾患・治療・必要な行動に関する繰り返しの説明、入院中の副作用への対応や薬剤管理の経験が影響していた。 日焼け・感染予防においては、必ずしも必要性を理解していなかったが、自分のできることを把握し、学校や地域での活動への参加方法を工夫することで、自分の望む生活に近づけるよう調整していた。子どもの能力を見極め、根拠の理解は求めないが必要な行動は促す親のかかわりは、子どもが必要な療養行動と望む生活との間で折り合いをつけるよう調整することに影響していた。 子どもは現在の生活に受診を組み込んでいたが、受診を継続しながらの将来の生活は考えていなかった。診断から5年経過するまでは、詳しい晩期合併症等の理解は求めない親のかかわりが影響していると考えられた。 上記の結果より、子どもが治療終了後も自己の身体に関心をもち続け、セルフケアの方法を身につけられるよう支援すること、喫煙や飲酒といった晩期合併症のリスク行動について根拠とともに理解を促すこと、学校や地域における活動への参加方法を子ども本人が調整できるようサポートすることの重要性が明らかになった。 本結果を海外にて上級実践看護師に報告し、米国での長期フォローアップの現状や成人血液・腫瘍科への移行問題についてディスカッションを行った。今後は国内での成果発表を通し、臨床での長期フォローアップへの移行期にある子どもへのより良いケアにつながると考える。また、本研究は長期フォローアップへの移行期にある子どもと家族のケア指針作成の足がかりとなるといえる。
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