平成20年度は、家族看護実践における看護師の行動差を把握するための各国語版の質問紙調査に用いる質問項目の作成、および、次年度の質問紙調査に向けた先方国の研究者との調整を行った。具体的には以下のことを行うことにより、次年度の質問紙調査実施のための準備を整えることができた。 1. 文献検討、インターネット検索、筆者の先行研究の再分析により、日本・韓国・中国の各国の社会的・経済的背景、保健医療システム、看護教育制度・資格制度、および、3力国間における看護師の行動や意識の違いについて、情報の収集と分析を行った。 2. 1. をもとに、インタビューガイドを作成し、日本・韓国・中国の3力国において、家族のあり方や家族看護実践における日本と韓国/中国との相違点に関するインタビュー調査を行った。具体的には、韓国については、韓国に在住する日本人(日本での看護師経験をもつ者を含む)および韓国人合計18名、中国については、日本に在住する中国人看護師(日本で看護学の学習・研究を行なっている者)3名と日本への留学経験をもつ中国人医師2名のあわせて5名へのインタビュー調査を実施した。 3. 韓国および中国に赴いて先方国の研究者と面会し、次年度の質問紙調査実施に向けた調整、および、筆者と行った先行研究の分析結果に関する討議を行った。日本と韓国/中国間に違いのみられた項目について、その違いが対象者の教育背景、看護実践経験、文化的背景など、どのようなものに影響を受けているのかについてディスカッションを行い、3カ国間の看護の相違点について考察を深めることができた。
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