研究課題
ペリオスチンは、損傷を受けた心筋細胞の保護、増殖に深く関わっていることが我々を含む内外のグループにより明らかになってきている。しかしながら、中枢神経系に対するペリオスチンの役割は未だ解明されていない。そこで、我々はラットにおける中大脳動脈閉塞モデルを用いて脳梗塞を作成し、ペリオスチンの発現パターンをin situhybridizationで検討した。その結果、正常脳においては大脳皮質神経細胞に特異的にペリオスチンの発現が認められるが、梗塞3時間後には虚血中心部と虚血周囲部における神経細胞のぺリオスチンの発現が低下し、梗塞24時間後からは虚血中心部においてペリオスチンの発現が徐々に上昇し、14日後にはその発現はピークに達することが分かった。この結果により、中枢神経系においても梗塞領域を中心にペリオスチンが強く発現していることが明らかとなった。心筋梗塞においては、繊維芽細胞がペリオスチンを発現していることが報告されている。しかし、脳組織には髄膜を除いて繊維芽細胞は存在していないことから、心臓とは異なる細胞種がペリオスチンを発現していると考えられる。そこで、脳梗塞後にペリオスチンを強く発現している細胞種の同定を試みた。様々な抗体を用いた検討を行った結果、CD68陽性細胞(マクロファージもしくはミクログリア細胞)が脳梗塞後にペリオスチンを発現していると思われるデータを得た。以上のデータを基にさらに検討を重ねていく予定である。
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Hypertension 53
ページ: 77-82
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