研究概要 |
【研究内容】骨再生バイオマテリアルにはハイドロキシアパタイト(HA)、α-TCP、β-TCPなどが存在するが、これまでの研究において、合成型ハイドロキシアパタイト(Kojima et al; J Bone Miner Metab 2007)、自己硬化型α-TCP (Hao et al; Biomaterials 2004)、熱処理ウシ骨(Tapety et al; Clin Oral Implants Res 2004)について検索を行ってきた。そこで平成20年度の研究では、これまでの実験系と同様の骨欠損を作製し、同部位にβ-TCP顆粒(オリンパスバイオマテリアル社・オスフェリオン)を補填した場合の破骨細胞と骨芽細胞の組織学的動向を経時的に観察し評価した。【具体的な実験方法について】正常ラットの頭蓋骨に、歯科用切削バーで人工的な骨欠損を形成し、その骨欠損部に各種補填剤を充填する。顆粒の流出を防止し骨欠損部に維持するために、同部を熱可塑性プレートで被覆する。術後1,2,4,8,12,24週目に灌流固定を行い、骨新生についてアルカリ性ホスファターゼ、酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ、ならびにオステオポンチンといった骨基質蛋白における組織化学的、免疫組織化学的に検討を行った。その結果、β-TCPは破骨細胞による吸収が先行し、その後に骨芽細胞の定着、骨形成が誘導されるカップリングのプロセスを経て新生骨が形成されると推測された。また、その後の骨リモデリングにより徐々に新生骨に置換されることで、緻密な骨基質形成を可能にすることが示唆された。(平成20年度の研究結果については、平成21年4/16-17に開催された第63回日本口腔科学会学術集会(浜松)で発表した。)
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