研究課題
若手研究(スタートアップ)
これまでに加齢に伴い色素幹細胞ニッシェにおいて、本来なら毛母に存在するはずの分化した色素を含んだ細胞が異所性に出現しており、常に白髪に先だっていたことを見出していたが、内在性のゲノム修復応答異常を呈するマウスでは若齢時や低線量放射線照射時においても同様にメラニン色素を沈着した分化した細胞群が色素幹細胞ニッシェ出現することを見出した。また活性酸素などの腫瘍の発生や維持に関与すると考えられるゲノム損傷刺激が同様に若齢時マウスにメラニン色素を持つ分化した細胞群を幹細胞ニッシェに誘導できることがわかった。このときDNA損傷のマーカーであるγ-H2AXフォーカスや癌抑制遺伝子であるATMの活性化などが幹細胞で認められたことから、色素幹細胞においてはDNA損傷応答と細胞の分化プログラムは未知の分子機構により密接にリンクしていることを意味する。これらは、加齢に伴うゲノム損傷と癌抑制遺伝子群の活性化が色素幹細胞の性質変化をもたらす要因であることを強く示唆し、また通常幹細胞しか存在しないはずのニッシェにおいても、ゲノム障害は幹細胞の自己複製に破綻もしくは機能異常をもたらすことで幹細胞システム全体の調節に影響することを示唆するものである。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
Cell 137
ページ: 1088-1099
J Biol Chem. 283
ページ: 18905-18915
http://www.tmd.ac.jp/mri/scm/index.html