がんサバイバーとして生きる患者への支援が国民的な課題となっている。しかし支援プログラムは少ない。そこで、N大学キャンパスを中心とした緩和デイケアサービスを立ち上げ、がん患者の在宅生活をサポートする新たな取組みを構築した。本研究の目的は、がんサバイバーに対し緩和デイケアプログラムを実践し、対象者のQOLとADLの維持・向上に働きかけ、その効果をSTAS-J(緩和ケア評価尺度:2007)を用いて明らかにした。 方法:プログラムはキャンパス型緩和デイケアが水曜日の午後1時~3時半、従来型緩和デイケアが木曜日の午後1時~4時と毎週1回開催し、利用者の参加目的に合わせて施行、経過観察を行った。キャンパス型と従来型を一例に、プログラムを検証した。 結果:平成20年12月~平成22年3月までの参加延べ数は、キャンパス型で233名、A病院で252名であった。1)利用者背景はキャンパス型と従来型では男女比が3:7、平均年齢は63.1歳であった。Performance Statusはキャンパス型が0.5、従来型2~3であった。2)疾患状況ではキャンパス型20名、従来型では81名、家族が29名であった。3)活動は、キャンパス型が「交流」「情報収集」「不安の緩和」「創作・レクリエーション」が主であり、従来型は「交流」「病状緩和」「心のケア」「家族のケア」を求める割合が大きかった。4)STAS-Jの分析により、キャンパス型は平均スコア0.53で不確かな要素からくる今後の不安を占めていた。従来型は平均スコア1.62であり、諸症状を抱えながらの闘病と、家族間のコミュニケーションが課題であることが明らかになった。 以上のことより、1)PSによりアクティビティに差があり、その結果STAS-Jで1.09点の差があった。2)患者の在宅生活をサポートするには、早期から緩和ケア関係者が関わることにより、自己コントロール力が活性化されることが示唆された。
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