[1次調査]【目的】本研究では、急性期脳卒中看護援助の実態を明らかにすることを目的とした。【方法】本調査は2009年7~8月に実施され、対象は滋賀県下の急性期脳卒中診療(発症1週間以内)実施医療機関の脳卒中専門病棟(Stroke Care Unit/Stroke Unit ; SCU/SU)、集中治療室、一般病棟脳神経外科、あるいは一般病棟神経内科に勤務する看護師とした。調査協力が得られた施設へ自記式アンケート用紙を送付し、返信は厳封の上個別返送とした。調査項目は循環管理、神経徴候の観察等についての看護実践状況を含み、各質問項目について全体の平均および割合を記述した。【結果】調査への承諾が得られた15施設の看護師503名を対象とした。回答が得られた304名(回答率60.4%)のうち回答に欠損があった25名を除外した279名を分析対象とした。循環管理は「頭部挙上による急激な血圧低下に注意する」等の8項目の質問から構成され、すべての項目で半数以上の看護師が実践していた。次に神経徴候の観察状況については「意識レベル」「Baree'徴候」等の33項目から実践項目への回答を求めた結果、「意識レベル」「瞳孔反射」が最も高く、95%以上の看護師により実践されていた。一方、「Baree'徴候」「口蓋垂の偏位」「Babinski反射」等16項目の実践割合は半数以下であった。[2次調査]【目的】急性期脳卒中診療に携わる看護師の専門性向上のための研修ニーズを明らかにすることを目的とした。【方法】全国の急性期脳卒中診療を実施している医療機関の看護部を対象とし、郵送法により調査した。質問項目は、設置主体やSCU/SU設置の有無などの基本属性および急性期脳卒中看護研修として希望する内容・期間等とした。【結果】調査に承諾が得られたのは912施設であった。そのうち現在も急性期脳卒中診療を実施していたのは612施設であった。希望する看護研修内容としては、「障害発生のメカニズムの講義」が75.8%と最も高く、受講可能期間としては「1週間以上1ヵ月未満」が36.6%、「1ヵ月以上3ヵ月未満」30.6%であった。
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