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2008 年度 実績報告書

肺修復及び肺癌発生に対するインターロイキン-6ファミリーサイトカインの役割

研究課題

研究課題/領域番号 20890116
研究機関大阪大学

研究代表者

木田 博  大阪大学, 医学部附属病院, 特任助教(常勤) (80512988)

キーワード気道上皮修復 / 肺癌 / 幹細胞 / インターロイキン-6 / gp130 / STAT3 / 肺特異的ノックアウトマウス
研究概要

12週齢の肺上皮特異的Stat3ノックアウトマウス(Stat3^<△/△>)及びコントロールマウス(Stat3^<flox/flox>)の肺組織を酵素処理することにより単細胞浮遊液を作成し、autoMACSTM ProSeparatorによりCD31、CD45陽性細胞を取り除き、気道上皮細胞浮遊液を作成した。同浮遊液におけるCD34、Sca-1共陽性細胞の割合をFACSCantoにて解析した。Stat3^<△/△>の共陽性細胞は上皮細胞中平均17.3%、Stat3^<flox/flox>の平均31.7%と比べ有意に減少していた(n=4/group,p<0.01)。
同じく12週齢のStat3^<△/△>及びStat3^<flox/flox>に275mg/kgのナフタレンを投与し、3日目に上皮細胞中のCD34、Sca-1共陽性細胞の割合をFACSCantoにて解析した。同量のナフタレンは気道クララ細胞をほぼ全滅させること、その後の気道上皮再生には気道上皮幹細胞が関与すること、Stat3^<△/△>ではナフタレン気道傷害後の修復遅滞を認めることが知られている。ナフタレン投与3日目のStat3^<△/△>の共陽性細胞は上皮細胞中平均27.6%、Stat3^<flox/flox>の平均46.7%と比べ有意に減少していた(n=4/group,p<0.05)。
12週齢のStat3^<flox/flox>よりCD34、Sca-1共陽性気道上皮細胞をFACSAriaによりSortingし、RNAを抽出した。Taqman PCR法を用いて、幹細胞因子であるOct3/4、Sox2の発現を検討したが、共陽性細胞とその他の気道上皮細胞との間で発現レベルに差は認めなかった。
CD34、Sca-1共陽性細胞は気道上皮幹細胞であると報告されている。12週齢のStat3^<△/△>及びナフタレン投与3日目のStat3^<△/△>において、CD34、Sca-1共陽性細胞の割合がStatflox/floxと比べて有意に低下していたことはStat3がCD34、Sca-1共陽性細胞の何らかの機能に関わっていることを示す。但しStat3^<△/△>のナフタレン投与前後を比較してCD34、Sca-1共陽性細胞の増加率がStat3^<flox/flox>と同等であったことは、Stat3はCD34、Sca-1共陽性細胞の増殖には関わっていないと考察される。
一方今回測定されたCD34、Sca-1共陽性細胞の割合は既報告より多く、また幹細胞を特徴付ける因子(Oct3/4,Sox2)の高発現を認めていないため、今後、気道上皮幹細胞のもう一つの特徴であるSurfactant Protein-C、 Clara Cell Secretory Protein共陽性所見との関連を調べる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 気道上皮修復におけるGP130-STAT3シグナルの役割2009

    • 著者名/発表者名
      木田博, 吉田光宏, 池上眞知子, Jeffrey A. Whitsett
    • 雑誌名

      分子呼吸器病学 13

      ページ: 125-128

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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