研究概要 |
申請者と研究グループはこれまでの研究成果の中で、頭癌の根治照射後再発腫瘍と診断確定時の組織との比較検討を行い、再発腫瘍のNF-Kappa Bの活性化の程度を判定する。神戸大学医学部附属病院にて喉頭癌症例(Glottic, Supraglottic carcinoma; T1N0M0 or T2N0M0)に対し根治的放射線療法を施行した250症例のうち、再発をきたし手術にて喉頭摘出かもしくは腫瘍摘出術を施行された症例の治療前の生検組織と摘出標本におけるNF-Kappa Bの活性化の頻度の差異を免疫染色によって比較検討し、早期喉頭がん症例(T1/T2N0M0)のNF-kappaBの活性化と局所再発の関連に関して、放射線抵抗性腫瘍ではNF-kappaBの発現が有意に高いことを証明し、その研究成果を2008年の制癌シンポジウムや日本癌治療学会、その他の学会で発表し注目を集めた。現在その成果を英文雑誌に投稿中である。更に根治的放射線治療施行後の再発腫瘍ではNF-kappaBが、治療前に認めなかった腫瘍においても有意に高かったことを発見した。更に大腸がん細胞株HCT116 p53+/+,p53-/-の親株(Parent cell)と放射線抵抗性株(Resistant Clones)を用いる。これらは既に放射線感受性に関して実験が終了しており、p53+/+の細胞においては親株に対して放射線抵抗性株は放射線感受性が明らかに変化しているが、p53-/-では親株に放射線照射後の抵抗性株は親株とほぼ同じ程度の放射線感受性であることを確認している。この結果自体も既存の報告はない新知見であるが、我々はそれらの親株と抵抗性株を用いてNF-kappa BのDNA binding assayを行い、放射線抵抗性とNF-kappa BのDNA binding活性が強い相関を示すことを発見した。次年度は実験計画に従い、動物実験や阻害剤を用いた放射線抵抗性とNF-Kappa Bの関係を検討していく。
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