研究概要 |
1.研究目的:産後の再喫煙を防止するために,妊産婦と夫への禁煙サポート方法を検討することである夫と妊産婦への効果的な禁煙サポート方法を検討するために「夫の喫煙行動」に焦点を当てて,妊娠・出産を境とした夫の喫煙行動の変化とその要因を明らかにする。 2.対象と方法:2009年12月~2010年1月の期間に4か月児健診の対象となる兵庫県西宮市780名の児の父母を対象に無記名自記式質問紙調査を行った。調査票は郵送し健診日に回収を行った。調査項目は,プレテストで質問項目を抽出し,年齢,最終学歴,喫煙歴,職場・家庭の喫煙環境,妊娠判明時の喫煙行動,喫煙に関する知識等である。分析は,ペアで行い,父親の喫煙については妊娠を機に喫煙を中止した者(喫煙中止群)と妊娠に関係なく喫煙している者(喫煙継続群)で各項目の比較を行った。 3.結果:有効回答数は,父親565/776(72.8%),母親625/780(80.1%)。そのうちペアでの有効回答数は,558/776(72.8%)であった。妊娠判明前に喫煙していた者は,父親210/558(37.6%),母親65/558(11.6%),そのうち妊娠を機会に禁煙した父親は16/210(7.6%),母親53/65(81.5%)であった。父親の喫煙中止群と喫煙継続群では,最終学歴,妊娠判明前の1日の平均喫煙本数,年齢に有意の差は認められず,子どもの数において喫煙継続群で有意に子どもの数が多かった(p=0.010)。妊娠判明前に喫煙していた男性では,妊娠判明後「妊婦の目の前でタバコを吸うのを止めようと思った」者は71.0%,禁煙を考えた者は22.2%であった。一方母親では,父親の妊娠中の喫煙について「自分の目の前で喫煙したければよい」と思う者は28.7%であった。 4.結論:妊娠は父母ともに喫煙行動を見直す機会となるが,父親では妊娠を機会に禁煙した者は7.5%であり7割は「妊婦の目の前で吸わなければよい」と考える者が多いことが明らかとなった。
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