本研究の日的は歯の発生における綱胞極性に関わる分子の機能解析であった。また、その解研ツールとして我々の研究室での歯胚再構成の系の確立及び精度の高いin situ hybridization法の確立が必要であった。従来の歯胚再構成の方法(Nakao et al. Nat Methods.2007Mar;4(3):227-30.)は胎生14.5日目の歯胚を摘出し、上皮と間葉を分離後、単一細胞にまで解離させ、再構成を行う。本研究では主に象牙質の細胞の極性獲得に焦点を絞るため、また、より多くの再構成歯胚を一度に作製する為に、胎生14.5日の間葉は単一細胞にまで解離させ、上皮は組織のまま行う方法に変更して行った。この事により、一度に多くの再構成歯胚の形成が可能となり、本研究のみならず、象牙芽細胞の分化及び極性獲得に関する研究が飛躍的に進む事が予想さわる。また、それと同時にin situ hybridizationの方法も改善し、より弱い遺伝子発現シグナルでも解析する事が可能となった。さらに、出生直後のマウス頭部切片を細胞極性獲得に関係のある分子群を認識する抗体(anti-ASIP/PAR-3)で染色し、臼歯部象牙質にて発現を確認した。この事は象牙芽細胞が他の細胞極性を持つ細胞(上皮細胞等)と細胞極性を獲得するメカニズムが類似している可能性を示唆したものであり、象牙芽細胞分化に関する新しい知見となる可能性がある。
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