研究概要 |
初年度は,ラットの骨再生モデルを用い,ラットの頭蓋冠に骨欠損を作成し,ラットの腓骨から採取した骨髄を移植材料として,骨欠損のみで移植を行わないものをコントロール群とし,移植直後から骨再生への初期段階として移植3日後,骨再生の顕著な段階を移植5日後,7日後とし,さらには移植骨が安定から吸収へと向かう段階として移植120日後に,それぞれサンプリングを行った.これらの組織切片を用いてH-E染色および VEGF,CCN2/CTGFの発現変動を免疫化学染色法の手法を用いて解析した.分化マーカーとして血管内皮細胞にはCD31,骨芽細胞にはオステオポンチン,オステオカルシンの免疫化学染色を行い,骨芽細胞の確認にはTRAP染色を行った. その結果VEGF,CCN2/CTGFタンパク質は再生極期において,再生骨周囲の骨芽細胞,血管内皮細胞,そして破骨細胞に局在していることを発見した.これらの結果より VEGF,CCN2/CTGFタンパク質は骨再生の活発な時期に,血管内皮細胞,骨芽細胞,破骨細胞において発現し,骨の添加と吸収をコントロールして,お互いに協調的に作用し,骨の再生を促進している因子として働いていることが示唆された. CCN2/CTGFは内軟骨性骨化を促進し調和のある再生作用をもった組織再生因子として働くと報告されており,今回,移植骨の再生における膜性骨化においても同様な因子として働き,さらにはVEGFとの協調作用が示唆されたことは,骨再生への新展開を期待させる意義のある結果である. 次年度は遺伝子発現の局在を確認し,さらに解析を継続する予定である.
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