研究概要 |
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科疫学倫理審査委員会に,本研究に係る倫理審査を申請した。これとともに,造血器腫瘍を中心とした血液疾患患者を対象とした歯周病等の口腔感染除去および管理を臨床の一環として行った。歯周病原性細菌に対するIgG抗体価等の歯周病感染を示す指標や,内科化学療法時のfebrile neutropeniaの日数等のデータの蓄積が行われつつある。 この中で,歯周炎を原因として重度のfebrile neutropeniaを発症したと考えられ,複数回行われた化学療法の間に歯周病治療を行うことで,その現象が顕著に見られた症例を経験した。本症例に関しては,Supportive Care in Cancer誌に症例研究として投稿し,アクセプトされた。 歯科のみならず,医科あるいは口腔ケアすなわち口腔感染管理をテーマとする看護の学会にも積極的に参加し,資料および情報収集を行った。とりわけ,造血細胞移植学会で研究成果を報告し,現場の医師等から貴重な研究上のアドバイス等を得た。 また,予定していた研究内容に加え,口腔感染管理の方法として,抗菌性を有する生体の好酸球由来物質Eosinophil Cationic Proteinの応用に関する研究を,本大学大学院自然科学研究科妹尾教授から提案され,共同研究としてin virtoの実験を行い,その応用の可能性についても検討し,学内シンポジウム等で発表した。
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