本研究はあらゆる生物が持つ根幹的なストレス応答すなわち熱ショック応答に着目している。内耳障害時の熱ショック応答の役割を分子生化学的に解明し、さらに熱ショック応答誘導剤としてしられる薬剤を用い、効果的かつ安全に内耳保護へ応用する方法を評価・確立することを本研究の目的とした。本年度はモルモットの実験計画を中心にすすめた。モルモットへの薬剤の投与量、投与期間を割り振り設定したところ、ABR、組織学的検討では至適投与量100mg/kg/回であった。この結果は投与期間を延長させれば一回投与量を低く抑えることが可能な意味を持つ。また、生化学的な結果では音響負荷後の熱ショック蛋白質の変化が薬剤によって修飾されていた。この変化は他のストレスではみられない変化であり内示での熱ショック応答の特殊性を示唆している。
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