本年度の目的としては、(1)動物の肺気腫モデルを作成し、肺気腫モデルでの区域間同定が可能か、投与量の調整が必要かを検討すること、(2)赤外光胸腔鏡下区域切除術への臨床応用が目的であった。 結果としては(1)に関しては、肺気腫モデルでも同様の観察が可能であり、投与量としても正常モデルに使用している量で十分に観察可能であった。動物モデルでの成果は「A novel method for determining adjacent lung segments using infrared thoracoscopy JTCVS 2009 ; 138 : 613-8」として誌上報告した。これらの結果を受けて、(2)のために、当院の倫理委員会に臨床応用に関しての計画書を提出し認可を得た。その後、臨床研究を進め、animal study同様の結果を得られることがわかり、十分に臨床応用可能であり、当初の計画通り、既存の方法では技術的に困難であった高度肺気腫症例に対して、また視野の限局される鏡視下手術に対して有効性が高く、手術支援器具として機能することが分かった。肺癌5例に対して行った中報告を第62回日本胸部外科学会総会の優秀演題で「インドシアニングリーン併用赤外光胸腔鏡を用いた区域間同定法の臨床治験」と題して発表した。また、現時点でのまとめとして2010年の米国胸部外科学会:Annual meeting of The American Association for thoracic surgery(AATS)で「Development of a navigation system for segementectomy using infrared thoracoscopy」と題してpresentationを予定し、その後にJTCVSに掲載予定である。
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