塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)シグナルのアンタゴニストSproutyのドミナントネガティブ変異体とドミナントアクティブ変異体の両プラスミドを、歯周組織の再生時に遊走、分化、活性化すると予想される培養細胞群に遺伝子導入(トランスフェクション)し、Sprouty分子を抑制することによって起こるさまざまな現象を調査し、Sproutyが再生にどう影響するのかを明らかにしたいと考えている。究極的にはそれらのデータをもとに、歯周組織破壊が起きた部位にSprouty inhibitorを局所適用した歯周組織再生療法を開発することを目的とする。 これまでに研究代表者はヒトとマウスのSprouty2、Sprouty4それぞれドミナントネガティブ変異体とドミナントアクティブ変異体の遺伝子導入用プラスミドを作製した。骨芽細胞株(Saos-2)にヒトSprouly2をstableの系で強発現させた結果、vectorのみ導入した対照と比較して細胞増殖が有意に抑制されていた。またRT-PCRにて骨形成能に関わる遺伝子を検索したところ、細胞接着タンパク質であるオステオポンチン(OPN)と骨シアロタンパク質(BSP)の発現に差はみられなかったが、骨芽細胞の分化に必須の転写因子であるRunx2/Cbfa-1の発現に低下が認められた。その一方、同様の転写因子であるOsterixには変化がなかった。現在、引き続きRunx2/Cbfa-1とSprouty2の関連性を探るためそのシグナル経路に関するウェスタンブロット解析を行っているところである。
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