生体肝移植を受けるレシピエントとドナーの相互作用をあきらかにするために、平成20年度は、(1)相互作用に関する文献検討、(2)相互作用を明かにするための研究デザインの再検討、(3)インタビューガイドの作成、(4)研究協力移植施設との体制作り、(5)倫理委員会への申請書作成を行った。(1)相互作用に関する文献検討では、国内ではキーワード「相互作用」「移植」で検索したところ、生体移植の看護に関連するものはわずか3件であり、現時点では未開拓の分野であることが再確認された。海外文献では、圧倒的に脳死移植に関するものが多く、脳死で臓器を提供したドナーの家族とレシピエントとの交流に関する研究も散出してきている。本研究は、生体移植を対象としているため、生体移植に限定し検索を行ったが、海外では、生体移植のドナーを擁護するため、海外では移植コーディネータ、看護師ともにレシピエント担当者とドナー担当者は明確に区別されている場合が多く、相互作用を見る立場の者は限られている状況であった。これらの文献検討の結果からも、レシピエントとドナーの両者を対象としている本研究は意義あるものであることがわかった。(2)(3)は、看護分野に限定せず、心理学、社会学へ視野を広げ、検討を行った。生体移植のレシピエントとドナーは置かれている状況から心理・社会的問題が既存の論文でも明らかになっている。そのため研究デザインの再検討を行った。同時に(4)(5)を行い、実際のフィールドにてデータ収集を行う予定である。
|