研究概要 |
食物アレルギーの発症機序は未だ不明瞭であり、明確な予防策も未だ確立されていない。アレルギー疾患は多因子疾患で、複数の遺伝的要因と環境要因の相互作用によって発症が制御されていると報告されている。食物アレルギーは経時的に症状が寛解していく場合も多く、寛解の過程に遺伝要因のみならず環境要因が影響を及ぼしている可能性がある。一部の食物では遺伝子多型が食物アレルギーに関与するということが明らかにされつつある。今回2007年の研究時に対象とした小児を含むアトピー性皮膚炎罹患小児・同胞対を対象とし、質問票調査から詳細なライフスタイルデータを収集、ゲノム抽出を施行している。また小児の疾患は生活習慣とも密接な関係があるため、生活習慣と遺伝子の関係を調べる目的で行ったパイロットスタディから、遺伝子多型と生活習慣病との関連は若年層でのみ認められたという研究結果を得られたため、その研究結果を現在日本衛生学雑誌に投稿中である。 (Relationship of the β3-Adrenergic Receptor Gene Polymorphism to Body Mass Index Analyzed in Japanese Male. Mayumi Tsuji, Hisamitsu Omori, Yuichi Kondo, Keiko Kamada, Takao Kitano, Ai Nakahara, and Takahiko Katoh)。この結果をうけ、今年度は遺伝子解析も重視した疫学研究を続行する予定である。現在目的とする対象者数の半数に対し質問票調査、CAP-RAST、ゲノム抽出を試行している。地域保健活動として、宇城市の母子保健事業に参加し母親学級での講演並びに保育部会での講演会を行い、地域の保健事業とも良好な関係を構築中である。
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