研究概要 |
1様々な組織の癌幹細胞に特異的に発現しているとされるマーカーについて、小型肝細胞における発現をRT-PCRによって解析した。多くの癌幹細胞で高発現しているとされるCD44,CD133およびThy1は、ラット小型肝細胞においても高い発現を示した。また、いくつかの癌幹細胞で発現しているCD24もよく発現していたが、ova1細胞のマーカーでもあるCD34はほとんど発現していないことがわかった。 2ラット小型肝細胞と、様々な肝癌細胞株の遺伝子発現について、特に癌関連遺伝子に着目して比較を行った。CD44,CD133,Thy1等の特に肝癌幹細胞マーカーとして着目されている遺伝子については、いくつかの細胞株に共通して発現が高いことがわかった。しかし一方で、肝癌細胞株種による発現の差異も非常に大きいことがわかった。細胞株の腫瘍形成能等と照らし合わせて、今後遺伝子導入等の解析を行う遺伝子を注意して選択する必要があることがわかった。 3ラット小型肝細胞への遺伝子導入法の検討を行った。細胞に遺伝子を導入する方法は、導入効率の高さ及び導入遺伝子の安定性の観点から、レンチウィルスを用いることとした。レンチウィルスベクターを入手し、実際にラット小型肝細胞に遺伝子導入が可能であることを確かめた。また、遺伝子発現抑制のためのshRNA発現コンストラクトを構築してウィルス粒子を作成し、ラット小型肝細胞の培養系に加えて感染実験を行った。その結果、10 MOIの量のレンチウィルスを感染させ、48時間培養することにより、90%以上の細胞に遺伝子を導入できることがわかった。
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