本研究の目的は、地域高齢者の口腔の健康(特に口腔乾燥・唾液分泌)と主観的幸福感との関連、及び薬の使用状況(薬の数や種類)と唾液分泌能との関係を明らかにし、唾液分泌能の低下している者を簡便な問診によりスクリーニングする方法を確立することにある。 研究方法:本調査は、平成20年12月-平成21年3月に実施した。対象者は、札幌市内および近隣市の調剤薬局で処方薬を受け取りに来た65〜74歳の要介護認定を受けていない高齢者200名を予定としたが、調査地域を商業地にある調剤薬局としたため、対象者はいるが、説明の段階で地域に歯科医院が多いので歯科治療中や歯科に定期的に受診している、口腔内を見せるのは恥ずかしいという理由のため協力者が42名であった。 実績:対象患者は調剤薬局から処方を受けている健康な前期高齢者42名。調査項目としては、問診により基本属性、薬剤情報(過去3か月分の使用薬剤名、使用量、使用方法)を調べた後、安静時唾液(吐唾法15分)を測定し、唾液分泌量と薬剤の服用状況との関係を横断的に分析した。 結果:平均年齢:71.14±4.41歳(男12名、女30名)。(1)唾液分泌量と薬の合計には有意な関連はなかった。(2)唾液分泌の低下には抗うつ薬・四環系が関連し、唾液分泌の増加には高血圧薬・Ca拮抗剤が有意に関連していることが示唆された。 今後(平成21年度)は、さらにデータを加えて、別の地域を対象として同様の方法により、継続して研究をする予定である。
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