研究概要 |
(1)血清コリン測定による簡便な非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の血清診断法の開発 H20年度に開発したHPLC法による血清コリン簡易測定法を用いて非アルコール性脂肪肝障害のstaging(特に単純性脂肪肝とNASHの鑑別)に有用であるか,国内3施設(横浜市立大学,九州医療センター,奈良市立病院)における174名の非アルコール性脂肪肝障害患者検体(単純性脂肪肝162例,境界型38例,NASH74例)を用いてretrospectiveに解析を行ったところ,AUC0.821,感度89.5%,特異度79%と鑑別に有用である事を確認した。 (2)^<11>C-コリンPET-CTを用いた非アルコール性脂肪肝炎の超早期確定診断法の開発 肝生検により確定診断の得られた各種病態(健常人8例/単純性脂肪肝患者14例/NASH患者16例)における^<11>C-コリンPET-CTを用いたリン脂質代謝能を測定するパイロツトスタディーを行い、各種病態毎の肝臓コリン代謝動態を図る事に成功した。“11C-choline PETを用いた非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の画像診断についての研究"という名称のもと、一般型先進医療をすすめている(承認番号【一般型20-110】)。 (3)非アルコール性脂肪肝炎におけるコリン過剰症めメカニズム解明 血液サンプルをHPLCリポタンパク測定システムを用いて脂質分画を測定し、コリン過剰症と脂質代謝の関係について分析を行い診断法の有用性を立証すると同時に、肝生検サンプルを用いて肝臓内の種々の脂質代謝因子に関するmRNA/蛋白発現を測定しメカニズム解析に努めた。単純性脂肪肝からNASHへの病態進展に伴いアポ蛋白BとミクロソームTG輸送蛋白の発現量が低下する事で肝臓からの中性脂肪分泌能が低下し、肝臓でのリン脂質代謝能が低下する事で、リン脂質の構成成分であるコリンの肝における利用障害が起こり、余剰コリンが血中に蓄積する事で血中コリン値が高値になつている事が証明された。
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