研究概要 |
本研究の目的は,先行研究で用いた技術実施時間と手技の正確度という客観的指標を用いた看護技術能力評価の活用可能性を検証すること,看護系大学における基礎技術教育が技術能力に及ぼす影響を明らかにすること,および先行研究で示された技術種目に適した教育方法による学習効果を検証することである.本年度は,看護学生の基礎技術能力が大学で実施されている技術演習や基礎看護実習という教育によって,どのように変化するかを明らかにするため,先行研究対象者の追跡調査を実施した.先行研究では,看護基礎技術の講義や演習を受けていない1年次の技術能力を,前述の指標を用いて客観的に評価した.その後,対象者は,講義と演習にて基礎看護技術を学び,基礎看護学実習を経験した.このような一般的な大学教育が学生の技術能力に及ぼす影響を検証する. 本研究の対象者は,A看護大学学部学生2年生のうち,研究への参加同意の得られた8名とした(データ収集期間が平成21年3月〜5月となったため,4〜5月に実施した学生は3年生となる).このうち5名は先行研究参加者であり,3名は非参加者であった.方法は,先行研究と同様に,無菌操作とベッドメイキングを実施技術とし,それぞれ1日5回3日間,合計15回の自己練習を実施した.データの分析は平成21年度に実施予定である.分析には,先行研究で用いたチェック表を使用し,実施時間の計測と手技の正確さを評価し,先行研究の結果と比較検証する.技術の実施時間や習得内容がどのように変化したかを客観的に示し,技術能力の経時的変化を視覚化することは,有効な教育方法の検討に寄与するものと考えられる.
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