本研究は、(1)先行研究で用いた技術実施時間と手技の正確度という客観的評価指標を用いた看護基礎技術能力評価の活用可能性を検証すること、(2)看護系大学における基礎技術教育が技術能力に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。先行研究では、研究実施以前に看護技術教育を受ける前のA看護大学の学部学生を対象に研究を実施した。その後、学生は1年後期と2年前期に行われた基礎看護技術の講義、演習にて基礎看護技術を学び、基礎看護実習を体験した後の、2学年終了時点の技術能力と、3年後期の領域実習を体験した後の、3学年終了時点の技術能力を評価した。対象者は、先行研究対象者のうち、本研究への参加同意の得られた学生と、先行研究対象者と同大学同学年の学生のうち、研究への参加同意の得られた学生とした。実施種目は、先行研究と同様、無菌操作とベッドメイキングとし、技術実施に要した時間の計測と、手技の正確さを評価した。正確度の評価には、先行研究で作成した評価表を用いた。無菌操作の習得度を平均得点で示すと、先行研究では25.4±4.2点、2学年終了時点では33±4.6点と最も高くなり、3学年終了時点では30.7±5.9点とやや低くなるものの、正確度は保持されていた。無菌操作を的確に実施するためには、清潔不潔の概念の理解と、空間を意識しながら操作する能力などが求められるが基礎教育によって正しい知識を得たうえで練することは、正確度の向上に効果的であることが示された。一般的に看護系大学で実施されている技術教育によって、技術能力の向上のみならず、一定の能力を保持できることが明らかとなった。
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