研究概要 |
入浴は日本の重要な生活習慣の一つであるが,生体にとっては大きな負担となることが知られている.入浴中の死亡事故は国内で数多く報告されており,安全な入浴方法の検討が求められている.本研究は,医療・福祉施設で一般に行われているファウラー位による機械浴中の心臓自律神経活動の経時的変化,季節性変化について,非侵襲的、な検査方法である心拍変動解析を用いて評価し,生体変化に基づく安全な入浴援助方法の検討を行うことを目的としている. 平成20年度は,以下の予備的な検討を行った.1.文献検討では,医学中央雑誌並びにPubMedの検索ホームページを用いて入浴関連の文献検索を行い,検討した.心拍変動解析を用いた検討は近年盛んに行われているが,入浴中の経時的な連続変化について検討しているものはほとんど無く,本研究で得られるデータは入浴中の生体反応を理解する上で重要であると思われた.2.今回導入した本体を浸水可能なデジタルポルター記録器について,浴室内での安全な使用方法,記録中の被験者の不自由さを最小限にする装着の工夫,心電図記録に対する入浴援助の影響について検討した.結果,通常の入浴援助動作では記録が乱れることはなく,施設での入浴援助中の記録が可能と考えられた.3.男性の同一被験者1名に対して,同一条件(湯温,浸水時間,浸水姿勢)下で,6回記録を行い,得られた心拍変動データの整合性を検討した,結果,いずれの記録からも,同等の傾向を有する心拍変動データが得られた.平成21年度は,本予備検討を基に,データの採取と検討を行っていく.
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