児童・思春期精神科病棟へ入院中の子どもに対して、看護師が行う看護ケアの内容および看護技術を明らかにし、具体的かつ系統的に記述することを目的として、国内の複数の施設において、児童・思春期精神科病棟に3年以上勤務する熟練看護師を対象に半構造化インタビューを実施した。Grounded Theory Approachにおける継続的比較分析法を用いて、インタビューデータの逐語録を分析した結果、ケア内容および看護技術は、『患児への個別の関わり』『集団への関わり』『家族への支援』『暴力・暴言への対応』『子どもを知る』『外泊・就学への支援』『医療チームの一員としての関わり』の7つの領域に整理・分類されることが明らかとなった。これらの看護領域のうち、『家族への支援』『外泊・就学への支援』については、得られたデータが少なく、より詳細で具体的な看護ケア内容および看護技術を明確にすることができなかった。そこで、家族支援や教育機関との連携に熟練している看護師を対象に調査依頼をし、インタビュー内容の修正を行った。これまで、子どものこころの治療を行う児童・思春期精神科病棟での看護実践に対する研究は数少なく、どのような看護が提供されているのかは不明確であった。平成21年度は、より具体的なケア内容・看護技術を明確にした上で、各看護技術の実際の患者への展開に影響する要素や条件についても明らかにする。さらに、明らかとなった看護ケア内容と看護技術との関連を明らかにし、児童・思春期精神科看護における看護実践のモデル化を行う予定である。
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