研究代表者はアンドロゲンレセプター(以下AR)の発現量の調節機構が、男性型脱毛症(以下AGA)の発症、さらには発症後の進行速度の重大な決定要素と考えた。そこでアンドロゲンレセプター遺伝子の発現調節メカニズムとして、ARプロモーター領域の遺伝子多型の解析を試みている。 平成20年度はサンプルであるAGAの患者とAGAでない患者の末梢血の採取をおこない、これらの細胞よりDNAを回収し、サンプル収集に努めた。 AGA患者数は増加傾向にあるも、サンプル収集には時間を要する。今後も引き続きサンプル収集を継続し、母数の蓄積を目指す。採取したサンプルよりDNAを用いてPCR法にてアンドロゲンレセプターのプロモーター領域を増幅させシークエンスする。これにより遺伝的素因との関係を明らかにする。 AGA患者と健常者の間で何らかのDNAメチル化調節機構の差異があり、その結果アンドロゲンレセプターの発現に差が生じている可能性が考えられる。AGAに対する人々の高い関心は、AGA治療薬の高い需要が明らかに証明している。AGAにおけるアンドロゲンレセプターの研究はなされているものの、遺伝的素因を含めた具体的なメカニズムは未だ不明な点が多い。AGAの発症メカニズムの解明が期待されているが、本課題は重大な基礎的知見を明示するものと考える。
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