研究概要 |
【研究の目的】変性関節軟骨における内部構造変化を、MR画像を用いて可視化することを目的にウシ変性関節軟骨の荷重動態をMR画像で解析した。 【方法】新鮮な成牛後肢大腿骨膝蓋骨の関節軟骨を実験材料として用いた。ウシ膝蓋骨の関節軟骨および灘骨を魂として、直径約8mmの円柱状に摘出し、これを試料とした。 摘出した試料をコラーゲン減少モデルとしてCollagenase処置を行い、変性モデルを作成した。 Collagenase処置:試料をcollagemse (70units/mL)溶液中に36時間、37℃で漬け、コラーゲン変性モデルを作成した。圧迫試験器は関節軟骨に1MPaの加圧が可能な装置を作成し、荷重を行った。 MR画像撮影MR画像撮影a. 正常および変性軟骨を下記条件で非荷重・荷重で撮像 b. T1計算画像:IR法でTR=2.1s, TE=4.0ms, TI=0.01~1sまで8条件で撮像し計算画像を作成c. T2計算画像:SE法でTR=3.0s, TE=6~1000msまで8条件で撮像し計算画像を作成 【結果】T1計算画像では変性によりT1値が有意に短縮し、圧迫によっても有意に短縮したことがわかった。また深層部ほどT1値が有意に短縮した。またT2計算画像では圧迫でT2値が有意に延長し、変性でもT2値が有意に延長した。また、深層部ではT2値の有意な低下を認めた。 【考察】T1値は組織の水分含有量に関係し、水分含有量が高いほどT1値は長い。変性,圧迫によりT1値は有意に短縮しており、水分含有量の低下を認めたと考える。特に変性軟骨では深層部の水分低下が著しく圧迫によりさらに低下した。T2値はコラーゲンの配向性と水分含有量に関係している。軟骨の変性でT2値は上昇しており、圧迫により大幅に上昇した。コラゲナーゼによりコラーゲン線維の配向性が低下し、圧迫により構造の破壊が生じていると考えられる。以上により、変性軟骨の内部構造変化では特にコラーゲン線維の配向性に起因しているT2計算画像を可視化することが有効であり、深層部では特にコラーゲン線維の配向性が強く、MR画像で可視化できていない。よりTEの短い撮像法の開発が必要である。
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