研究概要 |
骨形成蛋白,合成ポリマー,ベーターリン酸3カルシウムを組み合わせた薬物伝導系を使用した棘突起間内小切開投与による脊椎固定術モデルの作成を行った.合成ポリマーは,分子量により形態に変化がつけられ,液状のものから固形状まで作成が可能であり、ベータ・リン酸3カルシウムは粉末状,顆粒状,ブロック状と種々の形状に加工できる.このため,これらの組み合わせで用途に応じて様々な形態の担体が作成可能となった,脊椎固定において最も適した性状の担体を作成し,これに骨形成蛋白を配合し動物実験を行った.研究成果は,骨形成蛋白,合成ポリマー,ベータ・リン酸3カルシウムの至適配合比解析が終了し,棘突起間内小切開投与による脊椎固定術モデルが確立された,骨形成蛋白を使用した棘突起間固定を評価した報告は我々が初めてとなる。骨形成蛋白60μg使用により8週で100%の固定が得られた。棘突起間を固定することで、脊椎の安定化が得られると共に、椎間板内圧上昇を抑制でき、椎間板性疼痛の軽減や、椎間板変性の進行を抑制する可能性を示した。これらのデータは,次世代の局所注入法による脊椎棘突起間固定術モデル確立の基礎となる.高齢化社会を迎えるにあたり脊椎疾患に対する外科的治療の機会は今後増えていくことが予想され,より低侵襲で確実な治療法の確立が課題となっている.本研究の成果は,強力な骨形成因子である骨形成蛋白の脊椎脊髄疾患に対する低侵襲外科的治療への応用におおいに役立つものと考える.
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