ジメチルホルムアミド溶液中で4-アミノーTEMPOとポリアクリル酸をDCCを用いて反応を行いTEMPO修飾ポリアクリル酸(TEMPO-PAcA)を合成した。合成したTEMPO-PAcAの修飾率は元素分析を用いて決定してところ、37%であった。作製したTEMPO-PAcAとポリアリルアミン(PAA)の交互累積膜は水晶振動子ミクロバランス法を用いて評価した。その結果、積層操作数とともに共振周波数の減少が観察され、TEMPO-PAcA/PAA交互累積幕が作製可能であることがわかった。また、作製した交互累積膜のTEMPO固定化量は、サイクリックボルタモグラム(CV)の電荷量から決定したところ9.7nmol cm^<-2>であった。一方、QCM法から決定したところ31nmol cm^<-2>であった。 +0.7Vの電位を印加したとき(PAcA/PAA)_<10>交互累積膜の崩壊は観察されなかった。一方、TEMPO-PAcA/PAA交互累積膜では崩壊が観察された。これはTEMPOが酸化されて正電荷を持つことで、PAAの正電荷と反発をして交互累積膜の崩壊が起きたためと推察される。EQCMの測定では、PAcA/PAA交互累積膜ではCVおよびQCMで変化が観察されなかった。一方、TEMPO-PAA/PAcA交互累積膜ではCVから一掃引目と二掃引目を比較すると反応に関した電荷量が減少していることがわかった。これらの結果から、電位印加によって崩壊する電気応答薄膜の作製ができることがわかった。この薄膜を利用することで新しいドラッグデリバリーシステムへの応用が期待できる。
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