研究概要 |
目的:小児歯科に来院した小児患者、保護者ならびに担当歯科医師を対象に、唾液中ストレス関連物質である唾液α-アミラーゼ(sAA)の定量を行い、歯科恐怖度や不安検査との関連、三者間の相互関係を検討する。 方法:非浸襲的な歯科治療を受けた小児24人(男児12人,女児12人,平均年齢9歳)とその母親、担当歯科医師を対象とした。治療前に小児、母親に対し歯科恐怖調査(小児:CFSS-DS,母親:DFS)を実施し、治療前後には三者に状態・特性不安検査(小児:STAI-CS,-CT、母親・歯科医師:STAI-S,T)、sAA測定を行い、治療時間、来院回数を記録した。治療前後の小児sAA増減(±10%以上)によって小児を増加群(11人)と減少群(13人)に群分けし、統計学的検定にはt検定を実施した。 結果:小児の年齢、性別において両群に差は認められなかった。STAI-CTにおいて増加群は減少群に比較し明らかに高い値を示したが(P=0.019)、治療前・後STAI-CS、CFSS-DS、治療時間、来院回数において有意差は認められなかった。(P=0.985,0.483,0.699,0.608,0.307)また母親のDFS,STAI-T、治療前・後STAI-CSにおいて両群間で有意差は認められなかった。(P=0.095,0.251,0.526,0.092)同様に歯科医師のSTAI-T、治療前・後STAI-CSにおいて両群間で有意差は認められなかった。(P=0.427,0.469,0.632) 考察:非浸襲的な歯科治療において小児自身の歯科恐怖度、治療時間、来院回数は小児のストレスに影響を与えなかったが、特性不安が高い小児ほどストレスを感じていることが分かった。また母親の歯科恐怖度、不安や歯科医師の不安は小児のストレスに影響しないことが示唆された。
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