研究概要 |
本研究課題では、歯周病治療に有用な創薬開発を目指し、先行研究にて見出した歯小嚢に特異的に発現する細胞外マトリックスであるF-spondinの歯周組織再生能力を解析することを目的としている。これまで、申請者はヒト歯根膜遺伝子発現プロファイリングデータベースより歯根膜の原基である歯小嚢に特異的に発現するF-spondinを同定することに成功し、同分子が歯根膜形成に重要な働きをする可能性を見出した。そこで、本研究課題ではF-spondinの歯根膜形成過程における役割を解析するとともに、歯周病治療用創薬として開発することを目的としている。当該年度は、F-spondinの歯根膜分化制御機構における役割を解析するための実験系を立ち上げる。そのため、F-spondinの遺伝子発現抑制系や、組み換えヒトF-spondinを添加した際に連動して変動する分子(F-spondin発現制御分子)を同定する。 1.F-spondin発現抑制、およびリコンビナントタンパク添加実験系の確立 ヒト歯根膜細胞はinvitroでF-spondinを発現していることは既に確認しており(Nishida et al,Gene2007)、齋藤らが確立したレンチウイルス発現系によるshRNAi発現抑制システムでヒト歯根膜細胞におけるF-spondin遺伝子発現抑制に成功した。
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