研究概要 |
本研究は、看護技術の中で特に巧緻性の高い静脈注射技術に着目し、(1)フレッシュナースにおける末梢からの血管確保技術の教育的介入方法を検討(2)フレッシュナースに対しエキスパートナースによる教育的介入を実践(3)フレッシュナースの血管確保の技術習得を実験的に検証することを目的としている。このうち、平成20年度に(1)を検討した。INS定例集会に参加しCRNI(輸液認定登録看護師)の認定基準等を参考に教育的介入を行うエキスパートナースの条件を定義した。また、看護師90名を対象とした実態調査(2007,炭谷)の分析結果から、新人看護師の重要課題を抽出した。さらに、フレッシュナースに対する教育的介入方法の検討として、フレッシュナース10名を対象としたエキスパートナースの教育的介入を実施・観察し、フレッシュナースとエキスパートナースの認知する血管確保技術に関する課題内容の比較を行った。以上の検討から、以下3点を平成21年度実施する教育的介入プログラムに踏まえるに至った。(1)フレッシュナースは血管確保技術の「手順」を備えるためにエキスパートナースによる正しい手順を示したデモビデオを繰り返し視聴する。(2)フレッシュナースは血管確保実施後、自身の録画記録を視聴し自己の課題を確認する。(3)エキスパートナースは正しく「留置針を血管内に刺入する」ための血管怒張や刺入部位選択の技術および内針は固定しつつ外針を挿入するという留置針の巧緻性に関わる教示を強調するよう事前の打ち合わせで伝える。これら平成20年度の検討により、教育プログラムの骨子が完成したことは重要な成果であり、平成21年度にフレッシュナース50名による無作為化比較試験による検証を行う予定である。フレッシュナースと医療現場に求められる看護技術の乖離が問題となる中、看護技術の中で最も巧緻性が高い留置針を用いた血管確保技術向上を目指した研究意義は大きい。
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