研究課題
歯周病原細菌Porphyromonas gingivalis (P.g)のMfa1線毛は自己凝集、Streptococcus gordonii (S.g)との凝集に関与する。本研究では、P.g ATCC 33277のMfa1線毛の主要構成成分をコードするmfa1の下流に存在し微量成分をコードする3つの遺伝子pgn0289、pgn0290、pgn0291の機能を明らかにすることを目的としている。前年度は、fimA欠損株を親株としてそれぞれの微量成分を欠失させた変異株pgn0289株(ΔfimAΔ0289)、pgn0290株(ΔfimAΔ0290)、pgn0291株(ΔfimAΔ0291)を作製した。本年度は、得られた変異株の表現型を解析した。変異株の自己凝集能は親株と比較して顕著に増加し、ポジティブコントロールとして供試したmfa2変異株(ΔfimAΔmfa2)よりも高かった。この結果から、微量成分が自己凝集を抑制的に制御している可能性が示唆された。S.gの共凝集の検討では、変異株の強い自己凝集能が影響してしまい共凝集との関連を明確にすることはできなかった。また、親株と変異株からMfa 1線毛を精製して構造・機能解析を行った結果、精製線毛のSDS-PAGE像では親株かの精製線毛に認められる微量成分が、全ての変異株において欠損していた。pgn0291変異株ではpgn0289とpgn0290が発現しているのにも関わらず、線毛中に含まれないことからpgn0291はpgn0289とpgn0290とをMfa1へ繋ぐアダプター蛋白質として機能している可能性が考えられる。精製線毛の電子顕微鏡による形態学的検討では、親株と異株との間で顕著な違いは見出されず、約100nmの短いファイバーとして観察された。この結果から、微量成分Mfa1線毛の形態形成には関与しないと考えられる。
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Microbiology VOL.155
ページ: 3333-3347
Bacterial Adherence and Biofilm 22巻
ページ: 95-101