研究概要 |
まず本研究では、交感神経シグナルが活性酸素種(Reactive Oxygen Spices:ROS)を介して破骨細胞分化を制御しているか否か破骨細胞前駆細胞であるRAW264.7細胞を用いin vitroで検討した。RAW264.7細胞は2.5x10^3cells/cm2で細胞培養プレートに撒き、αMEM、10%Fetal Bovine Serum存在下で培養された。蛍光色素CM-H2DCFDAを用い、細胞内ROSを検出したところβ作動薬であるイソプレナリンを破骨細胞前駆細胞に作用させることによりイソプレナリン濃度依存的にROS産生が増加し、β拮抗薬であるプロプラノロール処理はROSの増加を抑制した。イソプレナリン、過酸化水素どちらも濃度依存的に破骨細胞の分化マーカーであるNFATc1 mRNAを有意に増加させ、RANKL(50ng/ml)により誘導される破骨細胞(酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(Tartrate-Resistant Acid Phosphatase:TRAP)陽性多核細胞)形成を促進させた。抗酸化剤であるαリポ酸,プロプラノロールはNFATc1 mRNAの発現および破骨細胞形成を抑制した。 以上の結果からβ作動薬が破骨細胞でROSの産生を増加させることによりRANKLによる破骨細胞形成を促進させる可能性が示唆された。骨粗鬆症に対する完全な治療薬は未だ確立されておらず、本研究で示された抗酸化作用のあるαリボ酸が破骨細胞に直接作用し、骨減少症の治療薬としての可能性が示唆されたことは極めて重要であり意義がある。
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