地域において、性に関連した問題行動(性器いじり、不適切な場所でのマスターベーションなど)が確認されている知的障がい者は4人に1人という報告もあり、生涯における性の支援の必要性が問われている。しかしながら、知的障がい者施設では職員が性行動の対処について悩んだ経験があるにも関わらず、性について話し合う機会は少なく、指導方法については適切なマニュアルや教則本がないため、苦慮している現状も明らかになっている。 そこで、平成20年度には知的障がい者施設の職員を対象とした支援マニュアル「知的障がい者の支援に生かす生活を支援する時の本」を作成した。作成した冊子は、2009年1~2月に全国の知的障がい者通勤寮(以下:通勤寮)110ヶ所、障がい者就労・生活支援センター(以下:就労・生活支援センター)205ヶ所、無作為抽出による知的障がい者授産施設(以下:授産施設)300ヶ所の合計615ヶ所に、質問紙(性の実態および冊子評価の調査)とともに送付した。冊子と質問紙は、通勤寮と就労・生活支援センターには1部ずつ送付し、授産施設には冊子2部と質問紙4部を送付した。回収率は36%、回収数は357部であった。 平成21年度に入り、質問紙を通勤寮、障がい者就労・生活支援センター、知的障がい者授産施設毎に集計し、各施設職員の意見としてまとめて分析した。通勤寮では、比較的知的レベルが高い知的障がい者が多く、知的障がい者授産施設は、中・重度の知的障がい者が多い。今回作成した冊子は、知的レベルの高い軽度の知的障がい者に対応しているという意見等があがった。作成した冊子の意見を基に、冊子の共著者に分担箇所の見直しと修正依頼を行い、改訂版の冊子にむけて作成を進めた。
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