知的障がい者施設職員を対象として、性を含めた生活の支援者を育成することが本研究の目的である。平成22年度は、知的障がい者が地域で生活するために必要な支援を盛り込んだ冊子(平成20年度作成)の改訂版を作成した。その冊子の効果を検討するために、介入群と対照群を設けて、以下の1~3までの研究計画を実施した。 1. 介入群として、地域の知的障がい者援護施設で働く職員74名に対して、平成22年8月に1度(2時間)、研修会を実施した。研修会のテーマは、「知的障がい者への支援を考えるとき~支援者の問題意識、価値観が与える影響~」として、生活支援における問題意識のもち方、支援へのきっかけなどについての講義と、小グループに分かれて事例検討を行った。研修会終了後には、現在の性や生活に関する支援の状況や、研修を終えて支援意識の変化を質問紙にて調査した。 2. 1を実施した7ヵ月後[平成23年3月]に、施設職員74名に対して、研修後の支援への行動変化について質問紙調査を行った。その際に、平成22年度に作成した改訂版冊子「地域生活支援ハンドブック」の配布を同時に行った。平成23年の8月には冊子配布(介入)後の施設職員の行動変化の調査を予定している(平成23年度に継続調査を実施予定)。 3. 対照群として、就業・生活支援センター、通勤寮、就労支援施設(平成20年度研究計画で初版冊子を送付した施設を中心に送付し、東北・関東大震災のため一部送付先は変更した)の3施設に対して、合計620部の改訂版冊子と質問紙を郵送し、改定版冊子の評価および現在の生活支援の状況に関する調査を行った。2の計画と同様に、平成23年の8月には冊子配布後の行動変化のフォローアップ調査を予定している。 4. 平成23年の8月の集計後には、介入群と対照群の比較を行い、研修会、または冊子配布による介入効果の検討を行うために、施設職員の生活支援への行動変化を調査する。
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