• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2009 年度 実績報告書

ras遺伝子変異による発がん過程での活性窒素を介したDNA損傷の役割とがん予防

研究課題

研究課題/領域番号 20890254
研究機関鈴鹿医療科学大学

研究代表者

大西 志保  鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助手 (80511914)

キーワードDNA損傷 / 発がん機構 / ras遺伝子 / 8-ニトログアニン / バイオマーカー
研究概要

肺がんの発生にはKras遺伝子の変異が重要である。しかし発がん機構の多段階説によると、ただ一つの遺伝子の変異だけでは発がんに不十分であり、発がんに至るまでには、更なるDNA損傷に基づく変異が蓄積していると予測できる。本課題では、多段階発がんにおけるDNA損傷塩基の役割を解明するため、K-ras変異によって肺癌を生じる遺伝子改変マウスを用いて、肺腫瘍形成過程で蓄積するDNA損傷塩基を解析した。マウス肺を免疫組織化学的に解析した結果、変異型K-ras発現後3,6,9週と腫瘍形成が進むにつれて、8-オキソグアニンと8-ニトログアニンの生成・蓄積が増加していることが明らかとなった。8-オキソグアニンは酸化的DNA損傷塩基であり、8-ニトログアニンは活性窒素が引き起こすDNA損傷塩基である。これらDNA損傷塩基は更なる変異に繋がることから、K-ras変異による肺がんの発がんに重要な役割を果たしていると考えられ、バイオマーカーとしての有効性が示されたことは重要な成果である。質量分析装置を用いた定量的解析を試みているところであり、今後さらに検討を進める必要がある。
腫瘍形成過程で蓄積するDNA損傷塩基の生成機構を解明するため、さらに詳細に検討した結果、肺腫瘍部位では炎症所見が認められなかったにもかかわらず、炎症関連因子NF-kappaBと誘導型NO合成酵素(iNOS)が発現していた。変異型K-rasによりERKが活性化し、NF-kappaB活性化、iNOS発現誘導により産生した活性窒素を介して8-ニトログアニンが生成したと考えられる。一般に腫瘍形成部位では炎症をともない、炎症によって生じる活性種が発がん・がん進行に寄与すると考えられるが、K-ras変異による炎症を介さないiNOS発現とDNA損傷塩基の蓄積も、発がん・がん進行に関与している可能性が示されたことは重要な成果である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文]2010

    • 著者名/発表者名
      Kawanishi S.
    • 雑誌名

      DNA Adducts : Formation, Detection and Mutagenesis(DNA, Properties and Modifications, Functions and Interactions, Recombination and Applications)(Nova Science Pub Inc)

      ページ: 169-181

  • [雑誌論文]2009

    • 著者名/発表者名
      川西正祐
    • 雑誌名

      炎症・再生医学事典(朝倉書店)

      ページ: 328-331

  • [学会発表] マウスにおけるK-rasがん遺伝子活性化によるニトロ化DNA損傷と質量分析装置による解析2009

    • 著者名/発表者名
      大西志保
    • 学会等名
      第68回に本願学会学術総会
    • 発表場所
      横浜市
    • 年月日
      2009-10-01
  • [学会発表] NITRATIVE AND OXIDATIVE DNA DAMAGE BY K-RAS MUTATION IN MICE2009

    • 著者名/発表者名
      Ohnishi Shiho
    • 学会等名
      第10回国際環境変異原学会
    • 発表場所
      イタリア国フィレンツェ市
    • 年月日
      2009-08-22
  • [学会発表] K-ras遺伝子変異マウスにおけるニトロ化DNA損傷2009

    • 著者名/発表者名
      大西志保
    • 学会等名
      第9回日本NO学会学術集会
    • 発表場所
      静岡市
    • 年月日
      2009-05-08

URL: 

公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi